Apple, NetflixにSlackも。AWSを複数年契約で利用する大手IT企業。

ライバルが顧客でもあるIT企業たち

「昨日の敵は今日の友」

昨日は敵だったとしても、事情が変われば、味方同士になることもあります。人の心は移ろいやすいことのたとえとして使われる言葉ですが、大手IT企業では、ライバルであると同時に顧客であるような状況が数多く生まれています。

AppleはAmazonのクラウドサービスAWSに年間3億5000万ドル以上(約390億円弱)を支払っており、さらに今後5年間で少なくとも15億ドル(約1700億円)のAWS使用料金を支払う契約をAmazonと結んでいるとも言われています。

アップルとAmazonは提供する製品・サービスで競合するものは少なくありません。いわゆるライバルとも言えます。動画ストリーミングサービスではApple TV+とAmazonプライム・ビデオで競合していますし、音楽配信サービスのApple MusicとAmazon music、更にスマートスピーカーのHomePodとEcho、決済サービスのApple PayとAmazon Payなど、あげればキリがないほど両社のサービスは競合しています。

しかし、そのアップルもiPhoneの写真などのバックアップに使われるiCouldや、その他のアップルのクラウドサービスの裏ではAWSを活用しています。その金額は年間3.5億ドルにものぼる大型顧客になっており、一見するとライバル企業の製品を最大限活用ししている顧客でもあるという奇妙な話が浮かび上がります。

確かに、競合他社のAmazonに依存しているAppleはビジネス目線では奇妙に見えますが、一歩引いてサービスを開発するプログラマ目線に立ってみると、この結果は納得の行く内容かもしれません。

IT企業に務めるプログラマやエンジニアの中でも、AWSは使い勝手の良さと機能の豊富さで最も愛されるクラウドサービスの評価を受けています。「AWSを使わないでサービス開発をするのは、飛車角をあえて使わないで将棋をするようなもの」というプログラマもいるくらいで、たとえAppleのサービスを開発するプログラマでもAWSを多用するのもうなずけます。

AWSの大口顧客のIT企業達

また、AWSを活用しているのはアップルだけではありません。webサービスやアプリを提供するグローバルな外資IT企業の多くは、現在AWSを活用しており、そのAWSの複数年利用契約を結んでいるところも少なくありません。

例えば、AWSのアマゾンの最大顧客の一つのネットフリックスは、GoogleクラウドのGCPと併用を積極的に進めていますが、AWSには毎月数千万ドル(数十億円)を支払っていると言われます。

アップルやネットフリックスほどではないにしろ、その他多くのIT企業がAWSのクラウドコンピュータに多額の費用を払っています。日本にも名が知られる有名も近年次々とAWSの複数年利用契約を結んでおり、限られた情報ではありますが公になっている範囲でAWSの利用金額も含めて紹介します。

Pinterest


Pinterestは、インテリア・旅行・ファッション・料理など、自分の興味があるテーマについての画像を共有・保存できるSNSサービスです。特にアメリカの女性を中心に好評で、出産経験のある18歳から64歳の女性のうち、80%がピンタレストを使っているとのデータもあります。

そのPinterestも、AWSの複数年契約を結んでいる企業の1つです。2023年6月までの6年間で、少なくともAWSに7.5億ドル(約830億円)を支払う契約を締結しています。

Lyft


Lyftはスマホアプリからタクシーを呼べる配車アプリを提供してる会社です。アメリカではUberと共にLyftが二大勢力を形成しており、2019年3月時点の配車実績は10億回を超え、すっかりと市民権を勝ち取っている会社です。

そのLyftも2019年から2021年末までにAWSに少なくとも3億ドル(330億円)を支払うことに同意しています。

Snap


Snapは写真や動画を共有するSNSをアプリSnapchatを展開する企業です。Snapchatの最大の特徴は共有した動画や画像が消えることで、受信者が動画像を開封してから最大10秒のカウントダウンが始まり、時間と共に消える機能が若者に受けてユーザを拡大させました。そのSnapも少なくとも2019年までに1.5億ドル(170億円)、2022年までに11億ドル(1200億ドル)をAWSに支払うことを公言しています。

Slack


ビジネスのコミュニケーションは現在メールが主体ですが、情報共有やシステム連携を意識したチャットベースのコミュニケーションツールを提供しているのがSlackです。親しみやすいデザインとわかりやすい操作性でユーザ目線なツールに仕上げながらも、システム間連携機能も充実しているパワフルさを備えている点が魅力でユーザを拡大し続けています。

Slackは既往限定ながら無料で使えるため、日本でも使っているユーザは多いと思います。このSlackも5年間で2.5億ドルをAWSに支払う予定であることを公に明らかにしています。