4月1日、中国語版のアップル公式サイトで中国国内のiPhoneとMacBookの価格引き下げを行いました。
iPhone XS(64GB)で、6%ほどの値下げ、MacBook(Retina,12-inch,2017)で4%ほどの値下げしています。また、安さを強調するためか、iPhoneの製品価格表示を24回払いでの月額支払金額が表示されるようにwebサイトの変更も行われています。
為替変動に合わせた価格調整か
2018年11月頃に比べて、2019年3月時での米ドルと中国人民元の為替レート3%ほど変動しており、為替に応じた価格改定が行われたと考えられています。
この報道をうけて、一時的にアップル株が下げに転じる場面がありましたが、販売不振ではなく為替の影響を踏まえた上での価格調整のとの見方が広がると安堵感からか値を戻し、4月1日のニューヨーク市場でアップルの株価は+0.68%の上昇で引けました。
背景にある中国でのアップル製品の販売不振
今回の値下げの背景には、2018年10-12月期(アップルの2019年第一四半期)の決算で明らかになった中国でのアップル製品の販売不振があります。前年同期比での中国でのアップル製品の売上高は-27%と、かなり悪い数字が出ていました。
2019/1Q($M) | 2018/1Q($M) | 前年同月比 | |
---|---|---|---|
アメリカ | 36,940 | 35,193 | +5% |
ヨーロッパ | 20,363 | 2,054 | -3% |
中国 | 13,169 | 17,956 | -27% |
日本 | 6,910 | 7,237 | -5% |
その他アジア | 6,928 | 6,853 | +1% |
合計 | 84,310 | 88,293 | -5% |
アメリカ以外の地域でiPhoneの販売不振に陥っている理由について、アップルは価格設定が高すぎたことが原因と見ており、「米ドルをもとにした価格設定をしてきたが、明らかにアメリカ以外では、高すぎる値段になってしまった」とティム・クックCEOも認めていました。
クック氏は「為替に目を向けると、特に過去1年で減速した市場ではiPhone価格の上昇が明らかにより大幅だった」とし、「このため1月に入ってこれらの市場の一部についてマクロ経済情勢を精査し、販売を下支えすることを願って1年前の価格とより釣り合いの取れた水準に戻すことを決めた」と述べた。(ロイター)
この決算発表をうけて、アップルは1月に中国などで既にiPhoneの価格引き下げに行っていました。さらに、クックCEOは2月の時点で、為替レートの変動に対応するため、中国で今後iPhoneをさらに値下げする計画を明かしており、今回の値下げは、この計画に基づいて行われたものと見られています。
またアップルは、中国以外でも為替レートの変動が大きい国でiPhoneの値下げを検討しているとの一部報道もあり、今後さらに別地域での値下げが行われる模様です。